RPM & PHR
遠隔モニタリング・PHR
在宅バイタル・ウェアラブル・患者向け健康記録。 全 5 製品 (国内提供 2) を掲載。 掲載順は評価順ではありません — 国内提供を先に、あとは名前順です。
Buying Guide
遠隔モニタリング・PHRの選び方
高血圧や糖尿病の患者さんが、次の診察までの 1〜3 か月をどう過ごしているかが見えない — 家での血圧や血糖、服薬の状況は問診で聞くしかなく、自己測定ノートを持ってこない患者さんも珍しくありません。健診結果や処方の記録も、紙やお薬手帳に分散して患者さんの手元から消えていきます。遠隔モニタリング・PHR (パーソナルヘルスレコード) は、この「通院間の空白」と「手元に残らない記録」を埋めるカテゴリです。
ただし、この言葉が指すものは製品によって大きく異なります。国内で実用段階にあるのは、患者さんが自分でバイタルや記録を入力し医療機関と共有する PHR アプリです。一方、海外には臨床グレードのウェアラブルでバイタルを連続測定し、看護師が 24 時間監視して在宅入院 (Hospital at Home) まで支える「入院代替級の RPM」がありますが、これらは日本未上陸です。
このガイドでは、国内 PHR と海外 RPM の制度・提供形態の違いを正直に整理し、自院の目的に合った見極めポイントを公開情報ベースでまとめます。
CHECK 01
そもそも PHR 連携型か、ウェアラブル監視型 RPM か
このカテゴリは大きく 2 系統に分かれます。ひとつは患者さんがスマホで血圧・血糖・体重・服薬を自分で記録し、医療機関と共有する「PHR 連携型」。生活習慣病の通院間フォローや療養指導に向きます。
もうひとつは、臨床グレードのウェアラブルでバイタルを連続測定し、悪化兆候を自動検知してケアチームが介入する「ウェアラブル監視型 RPM」で、退院後フォローや在宅急性期 (Hospital at Home) まで担います。後者は国内で実用段階の製品が確認できず、現状は海外 (米英) が中心です。まず自院がどちらを必要としているかを切り分けてください。
CHECK 02
患者さんが続けられる入力負荷か
PHR は患者さんが記録を続けてくれて初めて価値が出ます。国内の観察研究では、高頻度に使った群でこそ効果が見られ、低頻度群では有意差が出なかった例も報告されています。
測定機器との自動連携 (血圧計・体重計・血糖測定器) で手入力を減らせるか、高齢の患者さんでも操作できるかを、実際のアプリ画面で確認してください。「記録が続かない」患者さんが多い外来ほど、自動連携の対応機器が判断材料になります。
CHECK 03
自院の電子カルテ・マイナポータルとの共有方式
PHR データを診療にどう取り込むかは製品で差があります。医療機関との共有が「その製品を導入した施設に限る」と注記される例もあり、自院が導入側になる必要があるのか、患者さんのアプリを見せてもらう形なのかを確認してください。
マイナポータル連携 (健診・予防接種・調剤・医療費情報の取り込み) や HL7 FHIR など標準規格への対応をうたう製品もあります。将来の制度連携を見込むなら、こうした標準対応の有無も見ておくと安心です。
CHECK 04
医療機器 (SaMD) 該当の有無と責任分界
患者さんの自己記録を共有するだけの PHR は「業務ツール」扱いが中心ですが、ウェアラブルでバイタルを測り悪化を自動検知・アラートする製品は、海外では医療機器 (FDA 510(k)) として扱われています。日本で導入を検討する場合、その機能が薬機法上どう位置づけられるかは要確認です。
いずれの型でも、アラートや記録に基づく最終的な診療判断の責任は医師にあります。誰がアラートを受け、どう対応するかの運用ルールを先に決めておく必要があります。
CHECK 05
費用負担の出どころ (患者無料 / 医療機関課金 / エンタープライズ)
国内 PHR には、患者向けアプリを無料で配布し、医療機関向けの付加機能 (療養計画書作成など) だけを有料にするモデルがあります。一方、海外 RPM は病院・ヘルスシステム単位のエンタープライズ契約 (問い合わせ式) が中心で、個人クリニックの単独導入を想定していません。
自院が負担する費用がどこで発生するのか (患者側は無料か・医療機関側に月額がかかるか) を、見積もり前に整理してください。
CHECK 06
提供継続性 — 買収・事業整理のリスク
このカテゴリは大手による買収や事業の再編が比較的多い領域です。海外製品では運営主体の売却や、新規顧客の受け入れ停止 (既存サポートは継続) を公表している例も実際にあります。
患者さんのデータを預ける以上、提供が続くか・撤退時にデータがどうなるかは無視できません。運営会社の安定性や、事業譲渡時のデータ移行方針を契約前に確認しておくと安全です。
生活習慣病の通院間フォローを国内で始めたい
国内で実用段階にあるのは PHR 連携型です。患者さんが血圧・血糖・体重・服薬を記録し医療機関と共有するタイプで、患者向けアプリを無料配布し医療機関向け機能だけ有料というモデルもあります。市場定着度が「大規模普及」段階で、製品を名指しした国内の観察研究 (糖尿病の自己記録で HbA1c が改善傾向) まで確認できる、根拠先行寄りの製品が候補になります。まずは生活習慣病の数名で小さく運用を始め、記録の継続率を見ながら広げるのが現実的です。
検査結果や画像を患者さんの手元に残したい
健診結果・検査値・医用画像・処方を患者さんがスマホで時系列に持ち歩ける PHR を探すなら、画像クラウド基盤やマイナポータル連携を持つ製品が候補です。大学病院の公式アプリの基盤に採用される (新興・観察〜複数・大手導入の段階) など導入実績が公表されている一方、製品そのものを評価した査読研究は確認できず効果はベンダー説明が中心です。価格は問い合わせ式が多いため、医療機関側の負担条件をデモ時に確認してください。
退院後フォロー・在宅急性期まで担う本格 RPM を知りたい
ウェアラブルでバイタルを連続測定し、悪化を自動検知して看護師が監視する入院代替級の RPM は、いずれも日本未上陸です。米国では Epic 連携と査読観察研究を持ち大手医療システムに広く展開する製品があり、英国 NHS のバーチャルワードで運用される製品もあります。今すぐ国内導入はできませんが、国内 PHR を評価する際の到達点・ベンチマークとして製品ページを見ておく価値があります。なお運営主体の売却や新規受付停止を公表している製品もある点には留意してください。
※ 例示は状況に合う製品タイプの一例で、おすすめ順位ではありません。判定根拠は各製品ページで開示しています。
費用の目安
費用の構造は国内 PHR と海外 RPM で大きく異なります。国内 PHR には、患者向けアプリを無料で提供し、医療機関向けの療養計画書作成機能を月額 3,000 円とする公表例があります。一方、患者向けアプリに無料版・有料版の区分はあるものの具体的な金額を公開していない製品もあり、医療機関側の導入費用は問い合わせ式が中心です。
海外 RPM (Biofourmis・Current Health・Vivify Health) はいずれも公開価格表がなく、病院・ヘルスシステム・ペイヤー単位のエンタープライズ契約 (規模に応じた個別見積もり) です。個人クリニックの単独導入を想定した価格体系ではありません。公開価格が乏しいカテゴリなので、まず患者側・医療機関側のどちらに費用がかかるかを切り分け、付加機能の月額と運用人件費まで含めて見積もってください。
導入の進め方
- 1.自院の目的を「生活習慣病の通院間フォロー (PHR)」か「退院後・在宅急性期の連続監視 (RPM)」かに切り分け、国内で実用段階にある型を選びます。
- 2.患者さんの入力負荷を確認します。測定機器との自動連携対応や、高齢患者でも操作できる UI かをデモ画面で実測してください。
- 3.自院の電子カルテ・マイナポータルとの共有方式と、医療機関側が導入主体になる必要があるかを確認します。
- 4.費用の出どころ (患者無料か・医療機関向け月額か) と、医療機器 (SaMD) 該当の有無・責任分界を整理します。
- 5.生活習慣病の数名で試験運用し、記録の継続率とアラート対応フローを 1〜2 か月で振り返ってから対象を広げます。
規制・診療報酬の注意点
PHR の取り扱いは、政府の「民間 PHR 事業者による健診等情報の取扱いに関する基本的指針」や、医療情報システムの安全管理ガイドライン (いわゆる 3 省 2 ガイドライン) が関係します。マイナポータル経由で健診・予防接種・調剤・医療費情報を取り込む流れが整備されつつあり、対応をうたう製品もあります (2026 年 6 月時点)。要配慮個人情報を扱うため、データの保存先・保存期間・第三者提供や学習利用の有無を契約前に書面で確認してください。
診療報酬については、遠隔モニタリングを評価する加算は存在するものの、対象疾患や算定要件が限定的というのが一般論です。具体的な点数・算定要件は本ガイドの参照製品の公開情報では確認できないため、本ガイドでは記載しません。算定を前提に導入する場合は、施設基準・対象疾患を必ず最新の告示・通知で確認してください。
なお米国の RPM は CMS による償還コードが整備され普及が進んでいますが、これは米国の制度であり、日本の保険制度にそのまま当てはまるものではありません。海外製品の「再入院抑制」などの実績値も、米国の医療・償還環境を前提とした数値である点に留意してください (2026 年 6 月時点)。
よくある質問
- Q. PHR と RPM は何が違うのですか?
- PHR (パーソナルヘルスレコード) は、患者さんが自分で血圧・血糖・体重・服薬などを記録し医療機関と共有する仕組みで、国内で実用段階にあります。RPM (遠隔患者モニタリング) は、臨床グレードのウェアラブルでバイタルを連続測定し悪化を自動検知してケアチームが介入する仕組みで、退院後や在宅急性期まで担いますが、本格的な製品は現状いずれも日本未上陸です。
- Q. 患者さんは無料で使えますか?
- 国内 PHR には、患者向けアプリを無料で全機能提供し、医療機関向けの療養計画書作成機能 (月額 3,000 円の公表例) だけを有料にする製品があります。一方、無料版・有料版の区分はあるものの具体的な金額を公開していない製品もあります。海外 RPM は病院・ヘルスシステム単位の問い合わせ式契約で、患者個人や個人クリニック向けの価格体系ではありません。
- Q. 本当に効果はあるのですか?
- 国内 PHR では、製品を名指しした観察研究で 2 型糖尿病の自己記録により HbA1c が改善傾向を示した報告があり、高頻度に使った群でより効果が見られた一方、低頻度群では有意差が出ませんでした。つまり患者さんが続けられるかが鍵です。海外 RPM には在院日数短縮などの査読研究がありますが、米国の医療・償還環境を前提とした値である点に注意が必要です。
- Q. 海外の RPM 製品は日本で導入できますか?
- Biofourmis・Current Health・Vivify Health はいずれも日本未上陸で、日本のクリニック単独導入を想定した提供形態や国内薬機承認は現時点で確認できません (2026 年 6 月時点)。米国の医療システム・ペイヤー向けのエンタープライズ製品です。国内 PHR を評価する際の到達点として参考になりますが、今すぐの導入対象にはなりません。
- Q. 遠隔モニタリングで診療報酬の加算は取れますか?
- 遠隔モニタリングを評価する加算は存在しますが、対象疾患や算定要件が限定的というのが一般論です (2026 年 6 月時点)。具体的な点数・施設基準は製品の公開情報では確認できないため、本ガイドでは断定しません。算定を前提に導入する場合は、対象疾患・施設基準を最新の告示・通知でご確認ください。
最終確認日: 2026-06-13。本ガイドは公開情報と編集部の調査に基づき、掲載料は受け取っていません。
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