特集 · 制度ウォッチ

その制度は、
義務か、お金か。

電子処方箋も、二要素認証も、電子カルテの「2030年」も、診療所への一斉の義務ではありません。クリニックと中小病院に関わる制度を、医師が一次情報で仕分けました。

日本の田舎にある未来クリニックの世界観で、丘の上の庁舎からクリニックへ制度の書類が届く様子を描いたフラットイラスト。配送ロボットとドローンが書類を運び、屋根の上では望遠鏡で制度の動きを定点観測している。
電子処方箋の法的義務と導入期限
なし
出典: 地域医療介護総合確保法 (e-Gov)
DX の加算 (初診)。条件はマイナ保険証の利用率 30% 以上
15点
出典: 令和8年 厚労省告示第69号
電子カルテ約100% の期限。責務を負うのは政府で、医療機関ではない
2030
出典: 地域医療介護総合確保法 (e-Gov)
診療所の電子カルテ導入率 (2026年6月・回答施設)
72.6%
出典: デジタル庁 医療DXダッシュボード (2026-09-30 更新)

01

ひと目で現在地

決まったこと、これから、やること。

決まっていること

  • 2026年6月〜DX の加算が 1 本に15 / 9 / 4 点。旧加算の届出は引き継がれない
  • 2026年6月〜ベースアップ評価料が増額新たに賃上げする施設は 17 / 4 点。令和6年3月比で基本給等を 5.5% 以上上げてきた施設は、届出が初めてでも 23 / 6 点
  • 2026年4月施行開業の事前届出 (外来医師過多区域)指定区域で無床診療所を開くなら開設の 6 か月前まで。承継・移転も対象になりうる。指定の公表は 2026年9月19日時点で未確認

これから

  • 2026年12月令和9年度の予算編成電子カルテ補助の上限が決まる見込み
  • 2027年3月電子処方箋補助の導入期限 (医療機関)
  • 2027年4月医療機関機能報告 (病院・有床)
  • 2027年度〜二要素認証 (最初の更改時)
  • 2027年6月ベースアップ評価料の引き上げ (予定)
  • 2028年度地域医療構想に病院名・次の改定
  • 2030年末電子カルテ普及率 約100% (政府の責務)

03

それは義務か。8つの制度を仕分ける

「義務になる」と言われる制度を、条文で確かめました。

札の意味:義務該当すれば義務ガイドライン義務なし

「ガイドライン」は法令ではないが、立入検査で参照される。個別の当てはめは都道府県・地方厚生局へ。

04

入るお金、期限のあるお金

診療報酬の加算と、いま動いている補助。

診療報酬の加算届け出れば毎月入る

補助期限と予算の段階を先に見る

IT 導入・省力化・自治体の補助は、補助金のページに

補助金のページへ

05

次の電子カルテ更新に、まとめて入れる

二要素認証と電子処方箋の期限は、日付でなく更改時。見積依頼書に 5 行足せば大半が済みます。

見積依頼書に足す 5 行

  1. 01二要素認証端末のアプリと、院内サーバの OS のログイン。ガイドラインが更改時の採用を求める (チェックリスト ⑪⑫)出典: 安全管理ガイドライン第7.0版 システム運用編 ↗
  2. 02電子処方箋管理サービスとの接続国は更新時の一体導入を促している。加算 1 の要件出典: 電子処方箋・電子カルテの目標設定等について (厚労省 推進チーム 2025-07-01) ↗
  3. 03電子カルテ情報共有サービスへの対応加算 1 の要件出典: 保医発0305第7号 (施設基準・九州厚生局掲載) ↗
  4. 04標準仕様への準拠と、認証の申請予定乗り換え補助 1/2 の対象は標準仕様のクラウドネイティブ型出典: 医科診療所向け 電子カルテ・レセコン標準仕様書 第1.0版 ↗
  5. 05セキュリティ更新の責任の所在 (契約書に)業者に書面で委託していれば、読むガイドラインは 142 → 38 ページ出典: 同 保守委託機関編 ↗

まず保守契約の満了日

補助 1/2 はまだ要求段階。待てるかは満了日で決まる。

満了日と加算の区分を 1 枚に並べて書く。

  • 2028年春以降に満了補助の上限と認証製品を待ってから選ぶ
  • 2027年中に満了保守を 1 年延ばし、補助の確定を待つ
  • 今年度中に更改二要素認証に対応した製品を選ぶ

分かれ目は編集部の見立て (予算成立から入れ替えまでの期間で逆算)。

06

これからの 5 年

上が国の決まり、下がお金。点線は予定・要求段階です。

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20252026いまここ2027202820292030国の決まり
改正医療法成立(12月)
開業の事前届出(4月・指定区域)安全管理GL第7.0版(6月)
機能報告スタート(4月)二要素認証の基準年度
構想に病院名
電子カルテ約100%(政府の責務)
お金
賃上げ・物価支援(補正)
診療報酬改定(6月)電子処方箋補助(2027年3月まで)
電子カルテ補助1/2(要求中)評価料引き上げ(6月)
次の診療報酬改定

決まったこと予定・要求段階・政府の責務

07

医療DX は、どこまで進んだか

デジタル庁の公表値 (2026-09-30 更新分)。公表がないものは数字を作りません。

  • マイナ保険証・オンライン資格確認

    運用局面

    69.7%

    マイナ保険証利用率 · 2026年6月

    診療所はどう動くか

    国の目標: 2024年秋 (済) — 保険証廃止。オンライン資格確認は 2023年4月に原則義務化済導入は完了。焦点は受付での利用率。全国 69.7% を下回るなら、声かけとカードリーダーの置き場所を見直す。

  • 電子カルテ (標準型を含む)

    拡大中

    72.6%

    導入率 (医科診療所・回答施設) · 2026年6月

    目標: 約100% (2030年末)

    診療所はどう動くか

    国の目標: 2030年末 — 普及率 約100% (法律上の政府の責務)。無床診療所向けの標準型電子カルテは 2026年度〜本格実施回答した診療所の約 3 割が未導入。更新が近いなら、標準型や認証製品 (補助 1/2 は要求段階) が出そろう時期と、保守の満了日を並べて決める。

  • 電子処方箋

    目標未達

    42.5%

    導入割合 (全施設種別) · 2026年8月

    目標: 概ね全施設 (2025年度)

    診療所はどう動くか

    国の目標: 2025年度 (超過) — 概ね全ての医療機関・薬局で導入目標は未達で、2025年7月に年限のない目標 (電子カルテと一体で導入) に変わった。法的義務はない。補助は医療機関なら 2027年3月の導入分まで。

  • 電子カルテ情報共有サービス (3文書6情報)

    実測未公表

    未公表

    国のダッシュボードに実測が未掲載

    1. 基盤構築
    2. 運用開始 (2025年度)
    3. 共有・対応機関の拡大
    診療所はどう動くか

    国の目標: 2025年度 運用開始 — 診療情報提供書・退院時サマリー交換、検査値・アレルギー等の共有を順次拡大参加状況はまだ公表されていない。電子カルテの導入・更新時は、共有サービス対応を選定の条件に入れる。

  • 診療報酬改定DX (共通算定モジュール)

    拡大中

    未公表

    国のダッシュボードに実測が未掲載

    1. マスタ・点数表 改善
    2. α版・先行実施
    3. 本格実施 (2026年度〜)
    診療所はどう動くか

    国の目標: 2026年度〜 本格実施 — 共通算定モジュールを通じ医療機関システムをモダンシステム化、対応医療機関を拡大改定対応とレセコン維持の費用が下がる方向。次の更新前に、ベンダーへ共通算定モジュールへの対応予定を聞く。

  • PMH — 公費負担医療・予防接種・母子保健の自治体連携

    拡大中

    90,150 施設

    デジタル化対応 医療機関等 · 2026年8月

    全国運用 (2026年度〜)

    診療所はどう動くか

    国の目標: 2026年度〜 全国運用 — 公費負担医療・地方単独医療費助成・予防接種・母子保健等をオンライン資格確認で連携公費の多い小児科・産婦人科で効果が大きい。自院の自治体が対応済みか確かめる。

実測は デジタル庁 医療DXダッシュボード (2026-09-30 更新分)、目標は 医療DXの推進に関する工程表〔全体像〕(医療DX推進本部・2023年6月2日)。

08

毎日の一次情報

厚労省・中医協・PMDA など 6 機関を毎朝巡回。編集部が要約したものから新しい順に。

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