EHR

電子カルテ・レセコン

クラウド電子カルテとレセコン一体型システム。12 製品 (国内提供 12) を掲載。 掲載順は評価順ではありません — 国内提供を先に、あとは名前順です。

Buying Guide

電子カルテ・レセコンの選び方

紙カルテやオンプレ型からクラウドへ移したい、新規開業でゼロから電子カルテを選びたい、最近よく聞く AI 機能 (音声入力・レセチェック) が本当に必要なのか分からない — 電子カルテ・レセコンは、クリニックの受付から診察記録・会計・レセプト請求までの土台を担う基幹システムだけに、迷いどころの多いカテゴリです。

このカテゴリの製品は「クラウドかオンプレか」「レセコン一体か ORCA 連携か」「外来中心か在宅・病院対応か」で設計思想が大きく分かれます。さらに 2025〜2026 年にかけて各社が音声からの SOAP 自動生成や AI 自動算定といった機能を載せ始めており、同じ『電子カルテ』でも担う範囲が製品ごとに違ってきています。

このガイドでは、院長・事務長が乗り換えや新規導入で外さないために確認すべきポイントを、各製品の公開情報ベースで整理します。基幹システムは一度入れると数年は使い続けるため、機能の華やかさより自院の診療形態との相性を優先する視点が大切です。

導入前に確認する 6 つのポイント
  1. CHECK 01

    クラウドかオンプレミスか

    近年の新規製品はクラウド型が主流で、初期費用を抑えやすく、診療報酬改定への自動アップデートや院外からの参照がしやすいのが利点です。一方で、安定性や既存資産・運用ポリシーを重視して、いまもオンプレミス型を選ぶ判断もあります。ダイナミクスのようにオンプレを基本に低コストで堅実にレセプト計算と記録をこなす製品や、病院向けにオンプレ構築を前提とする製品もあります。

    自院の回線環境・既存サーバーの有無・災害時の運用方針を踏まえ、どちらの形態が合うかをまず決めると候補を絞りやすくなります。

  2. CHECK 02

    レセコン一体型か ORCA 連携型か

    電子カルテと医事会計 (レセコン) を 1 つにまとめた一体型は、画面を切り替えずに算定・点検まで進められ、別途レセプトソフトの操作が不要になります。一方、日本医師会標準レセプト ORCA (WebORCA) と連携する構成は、レセコン部分を ORCA 系に任せる代わりに、すでに ORCA を使っている院や費用配分を分けたい院に向きます。

    同じベンダーでも『ORCA 連動型』と『レセコン一体型』をプラン分けしている場合があり、月額やサポート範囲が変わります。自院が ORCA 利用中か、これから新規構築かで適した構成は変わるため、見積もりは両構成で取って比較してください。

  3. CHECK 03

    外来・在宅・病院 — 自院の診療形態に合うか

    電子カルテは対象とする診療形態で設計が分かれます。無床クリニックの外来中心に最適化された製品、訪問診療・在宅医療に特化して訪問ルート表示や主治医意見書・訪問看護指示書の作成を支援する製品、200 床未満の中小病院の入院機能まで備える製品があり、想定外の形態に無理に当てはめると運用が窮屈になります。

    在宅をやるなら在宅特化型を、入院があるなら病院対応版を、というように、まず自院の形態を満たす製品群に絞ったうえで他の軸を見るのが効率的です。

  4. CHECK 04

    AI 機能 (音声入力・SOAP 生成・自動算定) の内蔵度

    2025〜2026 年にかけて、診察会話を文字起こしして SOAP 形式の記録を自動生成する音声入力や、カルテ入力から算定項目を自動抽出する AI 自動算定、紹介状・退院サマリなどの文書作成支援を載せる製品が増えています。標準搭載のもの、提供開始したばかりのもの、対応予定として案内されているものまで成熟度はさまざまです。

    これらの効果値 (入力時間 80% 削減など) は多くがベンダー自社公表値で、現時点で第三者の査読研究で裏づけられた製品は確認できていません。AI を重視するなら、機能の有無だけでなく『今すぐ使えるのか・追加料金はかかるのか』をデモで確認することをおすすめします。

  5. CHECK 05

    データ移行・乗り換えコストと移行のしやすさ

    紙・オンプレ・他社クラウドからの移行は、過去カルテのデータ移行作業・並行運用期間・スタッフの再習熟がそのまま乗り換えコストになります。公式サイトで『他社カルテからの移行のスムーズさ』『紙カルテからの乗り換え実績多数』を訴求する製品もありますが、実際の移行範囲 (どこまで構造化して引き継げるか) は個別確認が必要です。

    基幹システムは数年単位で使い続けるため、最低利用期間・解約時のデータ持ち出し条件・移行支援の有無まで含めて総コストを見積もってください。

  6. CHECK 06

    価格の公開度と総額の見積もり

    この分野は問い合わせ式の製品が多い一方で、月額・初期費用を公式サイトに明示している製品もあります。公開価格のある製品は比較の起点にしやすく、非公開の製品は必ず見積もりを取って横並びにする必要があります。

    月額だけでなく、初期費用・レセコン費用 (別計算になる構成あり)・AI 機能のオプション料金・サポート費用まで含めた年額で比較してください。『本体無料』『月◯円〜』の表記は、レセコンや必須オプションが別計算になっていないかを確認することが大切です。

うちの場合はどれ? — 状況別の考え方
  • 新規開業でゼロから外来クリニックの電子カルテを選びたい

    新規開業なら、初期費用を抑えやすく改定対応も自動なクラウド型のレセコン一体型・ORCA 連動型が候補になります。公開価格のある製品は見積もり比較がしやすく、月額 1〜3 万円台のプランを明示している製品もあります。市場定着度が『大規模普及』段階の定番製品から、価格を公開して分かりやすさを打ち出す製品まで幅があるので、自科の診療スタイルでデモを試してから選ぶと外しにくくなります。

    例:エムスリーデジカルCLINICS カルテCLIUS

  • 訪問診療・在宅医療が中心

    在宅をやるなら、訪問ルート表示・主治医意見書や訪問看護指示書の作成・多職種連携といった在宅特有の業務を支援する在宅特化型が向きます。在宅領域では全国規模で普及した製品 (市場定着度『大規模普及』段階) が複数あり、いずれも公表値ながら数百施設・数万人規模の在宅患者を支える実績を掲げています。外来用の汎用カルテを在宅に流用するより、最初から在宅形態に合わせて設計された製品を軸に比較するのが現実的です。

    例:HOMISモバカルネットきりんカルテ

  • 入院機能のある中小病院で基幹システムを刷新したい

    外来だけでなく入院・オーダリングまで一体で扱う必要があるなら、中小病院や病院規模に対応した製品が候補です。クラウドネイティブで導入が進む新興・観察〜導入公表ありの段階の製品から、全国数百施設規模で稼働する『大規模普及』段階の病院向け定番まであります。病院は要件が複雑で構築前提のオンプレ製品も多いため、価格は問い合わせ式が中心です。自院の病床規模・診療科に近い導入事例があるかを確認すると判断材料になります。

    例:HenryMedicom-HRf / レセコン(CSI)

  • とにかくコストを抑えて堅実にレセプト・記録を回したい

    華やかな AI 機能より、レセプト計算と記録を低コストで堅実にこなすことを優先したい場合は、価格を公開して月額を抑えた製品が候補になります。電子カルテ本体を無料とする料金体系の製品や、オンプレ型で月額・初期費用を明示する長寿命プロダクトもあります。市場定着度の表示は控えめな製品もありますが、価格の透明性と運用の堅実さを重視する院には合いやすい選択肢です。レセコン費用が別計算になっていないかは必ず確認してください。

    例:きりんカルテダイナミクス

※ 例示は状況に合う製品タイプの一例で、おすすめ順位ではありません。判定根拠は各製品ページで開示しています。

費用の目安

公開価格のあるクラウド製品では、おおむね月額 1 万円台〜3 万円弱のレンジに収まります。ORCA 連動型で月額 11,800 円〜、カルテ単体で月額 12,000 円 (初期費用 20 万円〜)、レセコン込みで月額 19,800〜24,800 円、完全クラウドのレセコン一体型で月額 27,280 円 (初期費用 0 円) といった価格が各社の公式サイトに明示されています。オンプレ型でも月額 13,200 円・初期費用 22 万円 (税込) と公開している製品があり、電子カルテ本体の利用を無料とする料金体系の製品も存在します。

一方で、大手クラウド製品・新規開業向け製品・病院向け製品の相当数は問い合わせ式で価格非公開です。とくに病院向けはオンプレ構築前提で個別見積もりが基本になります。非公開=高額とは限らないため、公開価格帯 (月 1〜3 万円弱) を相場の目安に複数社から見積もりを取り、初期費用・レセコン費用 (別計算の構成あり)・AI 機能のオプション料金・最低利用期間まで含めた年額で比較してください。

導入の進め方

  1. 1.自院の診療形態 (外来/在宅/入院) と現状 (紙・オンプレ・他社クラウド) を整理し、満たすべき要件を満たす製品を 2〜3 製品に絞ります。
  2. 2.クラウドかオンプレか、レセコン一体型か ORCA 連携型かを決め、その構成で候補各社に見積もりを依頼します。
  3. 3.無料デモ・トライアルを申し込み、自科の診察フローで実際の入力操作 (および AI 音声入力を使うなら認識精度) を確かめます。
  4. 4.過去カルテのデータ移行範囲・並行運用期間・移行支援の有無と費用をベンダーに確認します。
  5. 5.オンライン資格確認・電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスへの対応状況と時期を確認します。
  6. 6.最低利用期間・解約時のデータ持ち出し条件・レセコン費用や AI オプションを含めた年額を比較して契約します。

規制・診療報酬の注意点

電子カルテ・レセコンは診断・治療の判断を行わない『業務ツール』扱いが中心で、医療機器としての承認は基本的に不要です。ただし AI が生成した記録や文書 (SOAP・紹介状・主治医意見書など) の最終確認とカルテ記載の責任は医師にあり、AI 出力をそのまま確定しない運用ルールを院内で定めておく必要があります。

選定時は、国が進める医療 DX 施策との接続を確認しておくと安心です (2026 年 6 月時点)。オンライン資格確認・電子処方箋への対応はもちろん、今後本格化する電子カルテ情報共有サービスや次世代規格 HL7 FHIR への対応状況・対応時期は、製品によって『標準対応』『対応予定』と差があります。公式サイトで『対応予定』と書かれている場合は時期を確認してください。

また電子カルテには法令上の保存義務 (記録の真正性・見読性・保存性の確保) があるため、データのバックアップ体制・国内保存・解約時の持ち出し可否を契約前に確認することが重要です。診療情報システムの安全管理ガイドライン (いわゆる 3 省 2 ガイドライン) への対応状況を書面で示せるベンダーかどうかも判断材料になります。なお具体的な診療報酬の算定要件・点数・補助金額は時点や施設要件で変動するため、最新の公的情報と当サイトの保険・制度アップデートで確認してください。

よくある質問

Q. クラウド型とオンプレミス型はどちらを選ぶべきですか?
一概には言えず、自院の方針次第です。クラウド型は初期費用を抑えやすく、診療報酬改定への自動アップデートや院外参照がしやすい利点があり、近年の新規製品の主流です。オンプレミス型は安定性や既存資産の活用、運用ポリシーを重視する院や病院規模で選ばれます。回線環境・災害時の運用方針・既存サーバーの有無を踏まえて決めてください。
Q. レセコン一体型と ORCA 連携型の違いは何ですか?
レセコン一体型は電子カルテと医事会計を 1 つにまとめ、画面を切り替えずに算定・レセプト点検まで進められる構成で、別途レセプトソフトの操作が不要です。ORCA 連携型は日本医師会標準レセプト ORCA (WebORCA) にレセコン部分を任せる構成で、すでに ORCA を使っている院や費用配分を分けたい院に向きます。同じベンダーが両構成をプラン分けしている場合があり、月額が変わるため両方で見積もりを取るのがおすすめです。
Q. 最近の電子カルテの AI 機能はどこまで使えますか?
2026 年 6 月時点で、診察会話から SOAP 記録を自動生成する音声入力、カルテ入力からの AI 自動算定、紹介状・退院サマリなどの文書作成支援を載せる製品が増えています。ただし標準搭載・提供開始直後・対応予定と成熟度はさまざまで、効果値 (入力時間削減率など) の多くはベンダー自社公表値です。第三者の査読研究で裏づけられた製品は現時点で確認できていないため、デモで実際の使い勝手と追加料金の有無を確かめるのが確実です。
Q. 他社カルテや紙からの乗り換えはどのくらい大変ですか?
過去カルテのデータ移行作業・並行運用期間・スタッフの再習熟が乗り換えコストになります。『他社カルテからの移行がスムーズ』『紙カルテからの乗り換え実績多数』を訴求する製品もありますが、どこまで構造化して引き継げるかは個別確認が必要です。最低利用期間・解約時のデータ持ち出し条件・移行支援の有無と費用まで含めて見積もり、無理のない移行スケジュールを組んでください。
Q. 電子カルテ情報共有サービスや電子処方箋への対応は必要ですか?
国が進める医療 DX 施策との接続は今後重要になります。オンライン資格確認・電子処方箋への対応は多くの製品が進めており、電子カルテ情報共有サービスや次世代規格 HL7 FHIR への対応は『標準対応』の製品と『対応予定』の製品があります (2026 年 6 月時点)。選定時に対応状況と時期を確認し、『対応予定』の場合は具体的な提供時期をベンダーに問い合わせておくと安心です。

最終確認日: 2026-06-13。本ガイドは公開情報と編集部の調査に基づき、掲載料は受け取っていません。

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