INTAKE & TRIAGE

AI 問診・トリアージ

来院前のスマホ問診から、症状チェッカー・重症度評価まで。15 製品 (国内提供 9) を掲載。 掲載順は評価順ではありません — 国内提供を先に、あとは名前順です。

Buying Guide

AI 問診・トリアージの選び方

紙の問診票を受付で配って書いてもらい、その内容をスタッフがカルテへ手入力し直す — この受付〜問診の流れに、待ち時間と転記の二重手間がたまっていきます。来院前にスマホで問診を済ませてもらえれば、診察前に患者さんの状態を把握でき、初診カルテの下書きまで自動で用意される。AI 問診・トリアージは、この「聞く・書く・振り分ける」フェーズを軽くするカテゴリです。

ひとくちに「AI 問診」と言っても、中身は大きく 3 つに分かれます。クリニックの受付・問診を効率化する WEB 問診 (院内導入の業務ツール)、来院前の患者さんが自分で使う一般向けの症状チェッカー・受診相談、そして救急・ICU など急性期で記録や重症度評価を担うツールです。誰が・どのフェーズで使うかがまるで違うため、「有名だから」で選ぶと自院の電子カルテに貼り付けられない、患者層に合わないといった失敗が起きやすい領域です。

このガイドでは、導入前に確認すべきポイントを公開情報ベースで整理します。価格は問い合わせ式の製品がほとんどで、公開されている数字は限られている点も、最初に押さえておきたいところです。

導入前に確認する 6 つのポイント
  1. CHECK 01

    誰が・どのフェーズで使うツールかを見極める

    同じ「AI 問診」でも、想定ユーザーと使う場面で製品が分かれます。来院した患者がスマホ・タブレットで入力する院内 WEB 問診 (受付・問診フェーズの業務ツール) が中心ですが、来院前の生活者が自分で使う一般向けの症状チェッカー・受診相談もあり、後者は院内システムではなく患者側のセルフトリアージです。さらに救急外来や ICU の記録・重症度評価に特化したツールは、対象が個人クリニックではなく救命救急センタークラスの大病院です。

    まず自院がほしいのは「受付の省力化」なのか「来院前の患者振り分け」なのか「急性期の記録支援」なのかを言語化してから、その用途に設計された製品に候補を絞るのが近道です。

  2. CHECK 02

    電子カルテとの連携方式

    問診の価値は、入力結果がカルテに載って初めて出ます。国内 WEB 問診の連携方式は「QR コード転送」「Bluetooth 連携」「コピー&ペースト」「カルテ自動連携」とさまざまで、診察スタイルへの当たり方が変わります。「メーカーを問わず全カルテ対応」とうたう製品もありますが、これはベンダー公表のため、自院のカルテで実際に動くかは個別確認が前提です。

    クラウド型・オンプレ型のどちらか、貼り付けや転送の操作が受付・診察の流れに収まるかを、デモで実際の画面遷移まで確認してください。

  3. CHECK 03

    問診票のカスタマイズ性と診療科テンプレート

    診療科や症状ごとに質問を出し分けられるか、自院の紙問診票をそのまま再現できるかは、現場の使い勝手を大きく左右します。多くの製品が診療科別テンプレートや、回答に応じて次の質問が枝分かれする分岐ロジックを備えています。

    自院でよくある主訴に対し、聞きたい項目を過不足なく組めるか、カスタマイズが標準機能か有償オプションかを見積もり時に確認してください。

  4. CHECK 04

    患者層との相性 — 高齢者のスマホ操作・多言語対応

    来院前入力を前提にする以上、患者さんが実際に入力を完了できるかが普及のカギになります。高齢者が多い院では入力 UI の分かりやすさや院内タブレットでの代替入力、外国人患者が多い院では多言語対応が効いてきます。

    なお「高齢者の◯%が問題なく入力できた」といった数値はベンダーの自社調べが中心です。デモやトライアルで、実際の患者層に近い人に入力してもらって完了率を体感するのが確実です。

  5. CHECK 05

    料金体系 — 公開価格が乏しい前提で見積もる

    このカテゴリは価格非公開 (問い合わせ式) の製品がほとんどで、初期費用・月額・機器代 (iPad 等)・オプション費用・電子カルテ連携費の組み合わせで総額が決まります。一部はオプション料金だけ公開している例があります (例: ある WEB 問診の電子同意書機能は初期 55,000 円+月額 5,000 円+従量課金)。

    問診のカスタマイズやカルテ連携が有償オプションになる製品もあるため、「基本料金」だけでなく、自院に必要なオプションまで含めた年額で複数社を比較してください。

  6. CHECK 06

    症状チェッカーの医療機器該当性と検証の有無

    院内の WEB 問診は情報を集めて整理する業務ツールで、診断は下しません。一方、来院前に病名候補や緊急度を提示する一般向け症状チェッカーは、海外では医療機器として承認 (EU MDR / CE) されている製品もあります。海外製は査読研究で精度・緊急度判定が評価されているものがある反面、いずれも日本未上陸です。

    国内の WEB 問診を選ぶ際は「査読研究がないこと」自体は減点ではなく、その分トライアルでの自院実測を検証の代わりに重視する姿勢が現実的です。

うちの場合はどれ? — 状況別の考え方
  • クリニックの受付・問診を WEB 化して待ち時間と転記を減らしたい

    院内 WEB 問診のなかでも市場定着度が「大規模普及」段階の製品が複数あります。累計約 2,500 軒の医科診療所・累計問診 5,000 万件超を公表する製品や、累計 1,900 施設超を公表しチャット形式・全カルテ連携をうたう製品が代表例です。いずれもベンダー公表の普及実績で、臨床アウトカムの査読研究は確認できていないため、導入事例の診療科が自院と近いかを見つつ、トライアルで連携と入力完了率を実測するのが安全です。

    例:SymViewメルプ WEB問診(MELP)CLINICS スマート問診

  • 病院規模で、問診から退院サマリ・診断書づくりまで AI で支えたい

    病院向けには、問診にとどまらず生成 AI で医療文書作成まで広げる「普及先行」型 (広く使われるが独立検証は途上) や、著名医師監修の医学データベースと連携して初診カルテ下書きを作る「導入公表あり」型が候補です。全国 1,800 以上の医療機関への導入を公表する製品や、全国 500 以上・大学病院シェア 70% 超を公表する製品があります。業務時間削減などの数値は病院・ベンダーの共同公表値である点を踏まえて評価してください。

    例:Ubie 院内 AI 問診今日の問診票

  • 救急・ICU など急性期の記録や重症度評価を効率化したい

    急性期向けは対象が救命救急センタークラスの大病院です。発話を生成 AI で構造化する救急向け音声入力カルテ (named customer での本格導入が始まった「導入公表あり」段階) や、SOFA・APACHE などの重症度スコアを自動計算し全国約 20 施設で稼働する ICU 部門システムがあります。個人クリニックではなく、救急部門・ICU を持つ病院の業務フローに乗るかどうかが判断軸になります。

    例:TXP Speecher(救急 問診・記録)NEXT Stage ICU(重症度スコア)

  • 来院前の患者振り分け・症状チェッカーの到達点を知っておきたい

    来院前に患者自身が使うセルフトリアージの分野では、国内は症状検索サービスがデファクト級に普及しており (月間 1,200 万人超・累計 1 億回超を公表)、回答を院内のスマホ問診へ橋渡しできます。海外では査読研究で精度・緊急度判定を評価され EU MDR / CE 承認を得た製品もありますが、いずれも日本未上陸で今すぐ国内導入はできません。国内の WEB 問診を評価する際のベンチマークとして見ておく位置づけです。

    例:Ubie 受診相談・症状検索Ada HealthInfermedica(Symptomate)

※ 例示は状況に合う製品タイプの一例で、おすすめ順位ではありません。判定根拠は各製品ページで開示しています。

費用の目安

このカテゴリの最大の特徴は、価格が公開されていない製品がほとんどだという点です。国内の主要 WEB 問診・AI 問診はいずれも『問い合わせ式 (要見積もり)』で、初期費用・月額・iPad 等の機器代・オプション費用・電子カルテ連携費の組み合わせで総額が決まります。

公開されている数字はごく一部のオプションに限られます。例えばある WEB 問診では、本体は初期費用+月額 (金額非表示) としつつ、ビデオ通話機能 0 円・電子同意書機能 初期 55,000 円+月額 5,000 円+従量課金とオプション料金だけが明示されています。別の製品は基本料金・初期導入費用・iPad 等機器代・オプション費用の 4 要素で構成されると説明するにとどまり、金額表は非公開です。

非公開=高額とは限りませんが、相場を一律に示せるだけの公開価格がそろっていないのが実態です。問診のカスタマイズやカルテ連携が有償オプションになる製品もあるため、自院に必要な機能を洗い出したうえで複数社から見積もりを取り、初期費用・最低利用期間・連携費まで含めた年額で比較してください。

導入の進め方

  1. 1.ほしいのは受付の省力化か・来院前の患者振り分けか・急性期の記録支援かを言語化し、用途に合うカテゴリ (院内 WEB 問診 / 一般向け症状チェッカー / 急性期記録) を決めます。
  2. 2.自院の電子カルテ (オンプレ/クラウド・製品名) を確認し、連携方式 (QR/Bluetooth/コピペ/自動連携) が合う候補を 2〜3 製品に絞ります。
  3. 3.デモ・トライアルを申し込み、自院の主訴に合わせた問診票を組めるか、実際の患者層に近い人が入力を完了できるかを実測します。
  4. 4.問診結果がカルテに正しく載るかを、自院のカルテ画面で連携テストまで確認します (全カルテ対応の表記はベンダー公表のため要検証)。
  5. 5.初期費用・月額・機器代・必要なオプション・連携費・最低利用期間を含めた年額で複数社を比較し、契約後 1〜2 か月で待ち時間・転記時間の変化を振り返ります。

規制・診療報酬の注意点

院内で使う WEB 問診・AI 問診は、診断・治療の判断を行わず情報の収集と整理を支援する『業務ツール』扱いが中心で、医療機器としての承認は基本的に不要です (2026 年 6 月時点)。一方、来院前に病名候補や緊急度を提示する一般向けの症状チェッカーは、海外では EU MDR / CE などで医療機器として承認された製品もあり、業務ツールと医療機器の境界はこの『緊急度・病名をどこまで提示するか』にあります。国内向けの症状検索サービスでも、公式サイト上で『本サービスは医療機器ではない』と明記している例があります。

いずれの場合も、トリアージや問診結果はあくまで参考情報であり、最終的な診断と受診要否の判断、カルテ記載の責任は医師にあります。AI が生成した問診サマリやカルテ下書きをそのまま確定しない運用ルールを院内で明文化してください。

診療報酬上の算定要件や点数については、公開された製品情報で確認できる根拠がないため、本ガイドでは具体的な金額・要件には踏み込みません。導入を検討する際は、各製品ベンダーと、加算・施設基準の最新の取り扱いを個別に確認することをおすすめします (2026 年 6 月時点)。

よくある質問

Q. WEB 問診の導入に、医療機器の認証や承認は必要ですか?
院内で使う WEB 問診・AI 問診は、診断・治療への直接の介入を行わず情報の収集と整理を支援する業務ツールとして提供されるのが一般的で、医療機器としての承認は基本的に不要です (2026 年 6 月時点)。ただし問診結果の確認とカルテ記載の責任は医師にあります。なお来院前に病名候補や緊急度を出す一般向け症状チェッカーは、海外では医療機器承認 (EU MDR / CE) を受けた製品もあり、扱いが異なります。
Q. 費用の相場はどのくらいですか?
国内の主要 WEB 問診・AI 問診はほとんどが問い合わせ式 (要見積もり) で、一律の相場を示せるだけの公開価格はそろっていません。公開されているのは一部のオプション料金に限られ、例えばある製品では電子同意書機能が初期 55,000 円+月額 5,000 円+従量課金と明示されている程度です。初期費用・月額・機器代・オプション・連携費を含めた年額で複数社を比較するのが確実です。
Q. 海外の症状チェッカー (Ada や Infermedica など) は日本で使えますか?
Ada Health や Infermedica、Buoy Health、Clearstep、K Health、Mediktor といった海外の症状チェッカー・AI トリアージは、いずれも日本未上陸で、日本語での正式提供・国内導入は確認できていません (2026 年 6 月時点)。EU MDR / CE などの海外承認や査読研究を持つ製品もあるため、国内製品を評価する際のベンチマークとしては参考になります。
Q. 高齢の患者が多いのですが、スマホ問診を使いこなせますか?
入力 UI の分かりやすさや院内タブレットでの代替入力など、高齢者に配慮した設計をうたう製品はあります。ただし『高齢者の◯%が問題なく入力できた』といった数値はベンダーの自社調べが中心です。デモやトライアルで、実際の患者層に近い人に入力してもらい、完了率と受付スタッフの補助負担を体感してから判断するのが確実です。
Q. 問診結果は自院の電子カルテにきちんと連携できますか?
連携方式は QR コード・Bluetooth・コピー&ペースト・自動連携など製品で異なります。『メーカーを問わず全カルテ対応』とうたう製品もありますが、これはベンダー公表の説明のため、自院のカルテ製品で実際に問診データが載るかは、デモで連携テストまで確認することを強くおすすめします。

最終確認日: 2026-06-13。本ガイドは公開情報と編集部の調査に基づき、掲載料は受け取っていません。

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